これまで「日経ビジネス」に何度も日本電産や永守重信氏の記事が取り上げらており、中には何十回と読み返した記事もあります。「これらの記事をまとめて書籍化してくれないかな…」と思っていました(一部の記事はムックになって発売されてます。こちらのムックは超オススメ。)。

この「日経ビジネス」の主席編集委員の田村賢司氏が、永守重信氏への20年余りにわたる取材を元に、永守経営を描いたのがこの本。参考にならないわけがありません。

(上のムックでも紹介されておりますが)私が「日経ビジネス」を読んで衝撃を受けた、驚異のコスト削減術についても、本書で触れられております。「売上高1億円当たり500万円」(人件費等を除く経費比率5%)という枠を設けてコストを削っていくものです。

少し長いですが、抜粋してご紹介しております。

 日本電産サンキョーのある幹部は、日本電産グループ入りした直後、永守が会社(当時・三協精機)を訪問した最初の頃のことをしばしば思い出すという。まだ課長クラスだった幹部のそばに来た永守は突然言い出した。

 「ちょっと、引き出しを開けて見せてくれ。」なんだろうと思いながら、数人がおずおずと開けてみると「やっぱりな」。

 どの引き出しの中にも、ボールペンやホッチキス、文書ファイル、ノートなどが多数入っていた。部署の棚も同様。永守はすぐに指示した。「机や棚にしまい込まれている文房具を1ヶ所に集めろ」。その結果、文書ファイルは3000枚、ボールペンは1000本以上、クリップも1000個以上…と文房具店が開けるほど出てきた。

 それだけではない。文房具などに加え、不要な資料なども捨てるとキャビネットもいらなくなる。もともと空いている机なども取り去り、レイアウト変更をすると事務スペースは約3000屬盧鏝困任た。

 さらに、工場や本社ビル内の蛍光灯も不要なものを外し、文房具類の経費は月18万円が同1万2000円となり、電気代も年間100万年下がったという。これに加え、再建達成までと限定して地域の各種団体への寄付なども抑えていった。

この手法は、日本電産の再建ノウハウの代表的なものの1つで、日本電産セイミツでも行った。同社の場合は社員が200人余りしかいなかったにもかかわらず、ボールペンは数百本、文書ファイルは数千枚、クリップも数百個出てきた。そして、無駄なスペースで使っていたものも含め、蛍光灯は1000本も取り外せたという。

 ここで大事なのは、こうした無駄を削減することだけではない。「利益意識がないことが、どれだけ多くの費用を生んでいるかをみんなに見せること」(永守)である。無駄の見える化だ。

 たとえ業績が悪化した企業でも、ただ口頭で注意されるだけでは、次第に慣れて緊張感も薄れる。しかし、毎日、無駄の山を目にしたり、専務スペースが大幅に空いた中で働いたりすれば、緊張感は途切れない。

 こうして緊張感が高まる中で、永守は仕掛ける。無駄削減や業務効率化のアイデアを当の社員たちに出してもらうのである。

 三協精機ではグループ入りから3か月して、約1200人の社員にアイデアを募ったところ、約4000件も出たという。その中には「トイレでの水の2度流し禁止」「水流し1回ごとに課金する」といったアイデアまで飛び出した。(P62〜)