「お金」(通貨)というものは近い将来(数年以内に)無くなるんだろうなぁーと思います。クレジットカードもまた然り。いずれも中央に代理人や管理者(中央銀行やクレジットカード会社)が介在していますが、そういった中間者が仲介・介在しなくても、スマホをかざせば口座からダイレクトに入出金でき、P2P(個人間)の取引をすることが(既に)出来ています。

こういった動きを、著者は、(中央に仲介者がいる)「ハブ」化した状態から、「分散化」した社会への「パラダイムシフト」だと述べ、「中央集権的な管理者からネットワークを構成する個人への権力の逆流、「下剋上」のようなもの」(P114)だといいます。さらにAI技術を活用した「自動化」も進みます。

このような「分散化」と「自動化」は、従来のビジネスの収益構造を抜本的に変えてしまう破壊力があるといいます。どういうことかというと、googleの誕生により「知識の民主化」(=コモディティ化)が起こり、知識を持っているだけでは価値がなくなってしまったことと同じように、今日の技術により「経済の民主化」(=万人が経済を自らの手で作れるようになる)が起こり、お金そのものに価値がなくなっていき、これまでとは異なる成功モデルが普及していくと。

お金が交換手段ではなくなったら、何が交換手段になるかというと、著者は「価値」だといいます(資本主義が限界に達し、「価値主義」になる)。本書の後半では、その「価値主義」の中で、個人としてどう生きるべきかという話にまで展開していきます。

全体的に若干理屈っぽく感じるところがありますが、技術の発展により「お金」(通貨)が無くなる世界を見据えた「お金2.0」の世界と、その世界での我々の在り方・生き方を論じてくれているのは、類書なき真新しさがあります。多くの気付きが得られた一冊でした。