バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書)
前野ウルド浩太郎
光文社
2017-05-17



バッタに興味があるわけでもなく、なんでこの本を手に取ったのか未だにさっぱり分かりません。いつもと違うジャンルを覗いてみたかったのか、未知を既知に変えたい欲求なのか、何か刺激が欲しかったのか・・・。ただ、読み始めたら止まりませんでした。

著者は、ファーブルに憧れ、昆虫学者になることを心に誓い、子供の頃から「バッタに食べられたい」というのが夢になったといいます。その夢を叶えるために、31歳の時、バッタが大発生しているという西アフリカのモーリタニアへ。

日本では計画通りに研究を薦めないと、遂行能力が欠如した「劣等生」の烙印をすぐさま押されてしまう。だが、ここはアフリカだ。日本でやっていたように計画に縛られると、目の前の大切なものを逃してしまう。今回は、番外編として研究することにした。(P56)


しかし、日本語が通じない砂漠の国に単身で乗り込んだ訳なので、当然様々な苦難が待ち受けます。

まさか「バッタがいない」という状況になるとは。最悪だ。大発生すると評判のバッタが不在になるなんて、一体何しにアフリカにやってきたのか。いま途方に暮れずに、いつ途方に暮れろというのだ。

バッタを失い、自分がいかにバッタに依存して生きてきたのかを痛感していた。自分からバッタをとったら何が残るのだろう。私の研究者としての魅力は、もしかしたら何もないのではないか。バッタがいなければ何もできない。まるで翼の折れたエンジェルくらい役立たずではないか。(P166)

終始、こんな↑ノリです。

唇はキスのためでなく、悔しさを噛みしめるためにあることを知った32歳の冬。(P259)

昆虫学者がなんでこんなに面白い文章を書けるのやら。。。

文書力もすごいと思いますが、著者の行動力や、夢の実現に向けて一点集中で取り組む覚悟や、様々な苦難を乗り越えていく姿もすごいものがありますし、こういう日本人がいるのかと勇気を与えてくれます。

ファインマンさんの本を読んでいるかのような面白さでした。