先日、私の母校の関西学院大陸上部の多田修平さんが、100メートル走で国内初の9秒台(9秒94)をマークしました。しかし、追い風4.5メートルのため公式記録とはならず、残念ながら参考記録に。追い風2.0メートルを超えると「追い風参考記録」となるのです。

かつて1マイル(約1.6キロ)を4分以内で走ることは、物理的に不可能だと思われていました。しかし、1954年、イギリスのロジャー・バニスターという選手が1マイル3分59秒4で走りました。すると、なんと、その後1年以内に23人もの選手が4分の壁を破ったのです。

おそらく、日本人が100メートル9秒台で公式記録を樹立する日は近いと思います。そして、そこから数年以内に何人もの日本人が9秒台で走ることになると思います。


人生において、これまで何度か「追い風」が吹いていると感じる時がありました。意に反して自分が走る速度よりも早く走っていると感じたり、背中を誰かに押されていると感じたり。

陸上のトラックを走っている時もそうですが、人生においても、向かい風よりも、追い風が吹いている時の方が不安になります。人間は、自分のペースが狂わされると不安になるものだと思います。

しかし、人生において「追い風参考記録」はありません。ペースが狂わされた時、走り続けるか、立ち止まるか、どちらかを直感で決めるしかないのです。私は追い風にのってどこまでも行ってしまう気性だと思います。これが良い結果になるか、悪い結果になるかは走ってみないと分からないけど、人生が変わるようなパラダイムシフトの瞬間になることが多いように思います。