続きです

小林秀雄が「読書について」、妹潤子に語る。

一流の作品をもっともっと読んでほしい。むずかしいからとあきらめないで、しんぼうして読んでほしいんだ。一流といえる作品は、作者の生命の刻印といってもいいものだからね。作者は、読者の忍耐ある協力を切望しているんだ。いろいろ批評をされたり、解説をしてもらったりするより、しんぼうして読んでくれる愛読者のほうが、どんなにうれしいかわからないよ。生命の刻印を、ほんとに愛してくれる人を、せつにもとめているんだからね。

まず読書の方法としてだいじなことは、さっきからいっているように、一流の作品を選んで読むこと。いいものばかり見なれ、読みなれていると、わるいものがすぐわかるようになるんだ。逆に三流四流のくだらないものばかり読んでいては、なかなかいいものがわからない。

ほんとうに一流作品に影響されるということは、そのすばらしさに、ぐうの音も出ないほどにやっつけられることだ。文句なしにその作品の前にひれ伏してしまうことだ。そういう体験を、恐れずにつかまなければ、名作から、身になるものを受けられないよ。


本を何冊、何十冊、何百冊読むかということよりも、「ぐうの音も出ないほどにやっつけられる」ような本にどれだけ出会い、どれだけ格闘するかの方が大切だと思います。

人生二度なし。
良い本で、良い人生を。
No Fun,No Life !!