孤独論 逃げよ、生きよ
田中慎弥
徳間書店
2017-02-10




続きです

芥川賞作家の本の読み方について。

読書とは、時間がかかる行為です。しかも、そこに書かれている内容の意味がよくわからない。何度読み返しても理解できない。そんな事態もままある。

たとえば、そもそもある文学作品をまるごと一冊理解するのは、まず不可能です。もし理解できたとしたら、それは錯覚でしょう。簡単に理解できす、答えも見出せない。だいいち設問(テーマ)はなんなのか、それすらはっきりしない場合だってある。ということは答え自体が存在しないともいえる。

文学作品に限らず、まるごと一冊理解することは難しい。でも分からないところは、分からなくていい。

なぜこの著者は、登場人物にこんなことを長々語らせているのか、なぜこの著者は、こんな七面倒な書き方をしているのか。そう思うのは往々にしてあることで、だから、名状しがたいなにかに触れた、という実感さえ得られれば、もう充分だと思います。

読んだ成果として、あなたに実用性や実践性が備わるわけではなく、言ってみれば寄り道の時間を過ごしたようなものです。直接的な利益を目指すなら、そんな暇つぶしはやめて、コンピュータのプログラミング学習に打ち込んだ方がいいかもしれない。

でも、目に見える効率とは無縁である代わりに、読書はあなたに可能性をもたらしてくれます。あなたを耕して豊かにしてくれる。いままでとらわれ、硬直してしまいそうな、あなたの考えや価値観を揺さぶり、先を切り拓くための手がかりを授けてくれる


読んでも理解できないかもしれない。

まわり道かもしれないし、益はないかもしれない。けど、意味はある。

それでいいのです。

人生、面白ければそれでいい。



人生二度なし。
良い本で、良い人生を。
No Fun,No Life !!