私の自宅では日本経済新聞と神戸新聞を購読しておりますが、ホテルに宿泊する時は読売新聞を持ってきてもらいます。駅の売店でも読売新聞を買います。いっそ自宅でも読売新聞を購読しようかとも考えています。なぜか。読売新聞朝刊一面の『編集手帳』が素晴らしいのです。内容に感動することもあれば、話の展開に唸ることもある。言葉の使い方に痺れることもあれば、余韻がしばらく消えないこともある。私を虜にするコラムを15年にわたり書き続けているのが竹内政明さん。

池上彰さんが「読売新聞の一面を下から読ませる男」と称する竹内政明さんに、「どうすれば、こんな文章がかけるのか。お話を聞かせていただきたい。」と対談をお願いしたとか。この対談を編集したのが本書。

ご承知の通り、池上彰さんも元NHKの記者。分かりやすい原稿を書くことでは右に出る者がいない「知の巨人」が、いってみればライバルの記者に教えを乞うような企画なわけで、そんじょそこらの対談ものとは訳が違う。読まない訳にはいかない。(ちなみに、池上彰さんは、『情報を活かす力』 という本の中で、「読売新聞の竹内政明さんが担当している『編集手帳』は見事」とも書かれております(P62)。)

さて、前置きはこれくらいにして本題。現役のプロの書き手が、ここまで種明かしをしてもいいのかと思うくらいの内容です。本当に良い本というのは一度読んだだけでは消化不良、二度目でようやく消化し、三度目で自分の身体に吸収できる。モノを書く仕事をしている方は、三度くらい読む価値があると思います(但し、モノを書く仕事をしていない人が、池上本と思って飛びつかない方が良いと思います)。

個人的に気になっていたのは、『編集手帳』がどのようにして作られているのかという点だったのですが、まず考えることは「テーマ」、次に考えるのが「書き出し」だそうです。「書き出し」がうまく浮かばなければ別のテーマにしてしまうほど「書き出し」を大事にしているようです。

ここから先が池上彰さんと異なる所で面白いのですが、竹内さんは「書き出し」と「結論」を先に決めて、そこから「部品」を探しにいって原稿ができあがることが多いようです。池上彰さんは「書き出し」を決めて、書きながら「結論」が浮かんでくるのを待つようです。私はどちらかといえば池上彰さんのパターンに近いかもしれませんが、竹内さんの原稿の書き方も参考にしたいと思いました。何度も何度も切り貼りを重ねながら読める文章になっていく、とも書かれていました。あれだけのコラムですから、「書き出し」から書き始めて、そのまま書き終えたものが人様に読んでもらえるような文章になっていることはないようです。

私が本書で最も参考になったのは、以下の箇所。文章を「削る」ことによって、良い文章が出来上がる。私も本書を数週間前に読んで以降、原稿を書くときに、意識的に「削る」ということをやってますが、これはオススメ。文章が磨き上げられる感じがします。


書く力


書くことを生業にしている方には超オススメの一冊です。