『知の巨人』の2人が知的生産術を語るなら、ということで中も見ずに購入。

膨大な知をアウトプットをしている2人が、新聞・雑誌・ネット・書籍からどうやってインプットしているのかを披露してくれている、個人的に嬉しすぎる一冊。

以下、私のメモ。

■新聞
●全国紙は、「客観報道」の前提が崩れている。
●全国紙は、通信社(共同通信など)の記事をほとんど扱わないという奇妙な習慣がある。
●地方紙に目を通すと通信社のニュースをカバーできる。
●全国紙+地方紙の複数紙を併読してほしい。(佐藤)
●朝日嫌いでも「朝日新聞デジタル」は目を通すべき。(佐藤)
●共同通信も時事通信も元々同じ会社。両者とも電通上場のキャピタルゲインで本社ビルを建てた。

■雑誌
●電子雑誌読み放題サービス「dマガジン」(月400円+税)の登場は大革命。
●新聞と同様、雑誌も「拾い読み」が基本です。(池上)

■ネット
●ネット情報は玉石混淆。ノイズ情報をいかに除去するかがポイント。(佐藤)
かかる時間に対して得られる情報が少ない(効率が悪い)のがネットの特徴。(佐藤)
●そもそもネットで入手できる情報の多くが二次情報、三次情報。(佐藤)
●メディアの情報の中で何か気になるものがあれば、原文にあたってみるといい(池上)

●最近のグーグルは使い勝手がよくない(池上)
●ウィキペディアの信憑性はバラツキがある(佐藤)
●「日本大百科全書」などが検索できる「ジャパンナレッジ」は便利(佐藤)

インプットの時間を確保するには、「ネット断ち」「スマホ断ち」(池上)
ネットサーフィンの良くない点は、時間の浪費に加えて、そこで見た情報がほとんど記憶に残らないこと(佐藤)
●歩きスマホをやめられないのは「ネット依存」「スマホ依存」(佐藤)
●東大で歩きスマホをしている人は見かけない(池上)

●海外メディアは、『フィナンシャル・タイムズ』がオススメ(池上)
●英語の学習を意識するなら、『BBC Learning English』もいい(佐藤)

■書籍
●基礎知識は書籍でしか身につかない(佐藤)
読む本は選ばなければならない(偏った情報が多い)(佐藤)
●いい本に出会うためのコツは「たくさん買う」こと。迷ったら買う。(池上)

●「熟読する本」と「速読で済ませる本」は分ける(池上)
●「熟読」、「超速読」(1冊5分)、「普通の速読」(1冊30分)を使い分ける(佐藤)
●現時点で「理解できる本」と「理解できない本」は仕分けをする(佐藤)

論理的な思考力を身につけるためには、難解な本と格闘する経験が必要不可欠(池上)
●読書ノートには「記憶のトリガー」になるものを一緒に書き込んでおく(佐藤)


2人に共通しているのは、膨大なインプットをするための時間の確保をする工夫をされていることですね。インプットの時間を確保するために、飛行機より新幹線を利用するという点は私も同じです。

本書に度々出てくるコトバが「ネット断ち」。佐藤優氏が「どんなに忙しくても、毎日4時間はインプットの時間を死守すること」を自分自身に課し、この4時間はパソコンもタブレットも電源を落とすという「ネット断ち」をしているようです。また、「ネット断ち」だけではなく、「酒断ち」もしているようです。「酒を飲むのは人生の無駄だ」と言い切ります。確かに、インプットの時間にアルコールが入ると、その時間は確実に無駄になります。私の場合、ソファーに座っての読書も、時間の無駄になることが多いですね。かなりの割合で寝てしまいますし、起きていたとしてもインプットできていないことが多いので。

池上彰氏、佐藤優氏は、単著でも知的生産に関する本を出されております。こちらも参考になることが多いと思います。特に『読書の技法』はオススメです。

佐藤優著『読書の技法』(東洋経済新報社)
池上彰著 『情報を活かす力』 (PHPビジネス新書)