私が独立した2005年頃から、将来、コンサルティング業のビジネスモデルは劇的に変わるだろうなぁ〜と思っていました。

以前も書いたことがありますが、私が独立した頃、「ウェブ2.0」というコトバが流行した時期だったので、私は「コンサル2.0」というコトバを造りました。

そして、10年後の2015年の世界を予想したのです。それは、こんな世界でした。

従来の滞在型・対面型コンサルティング(これを私は「コンサル1.0」と言っていました)のビジネスモデルはいずれ終焉し、ウェブ上での双方向コミュニケーションによる「情報」の提供をビジネスモデルとした「コンサル2.0」の時代になる。

「コンサル2.0」の時代は、コンサルタントがクライアント先に訪問するという点での価値は無くなり、ネット上での「情報価値」が収入と直結するようになる。

そうなれば、コンサル業界は二極化することになる。マッキンゼーやボスコンのような「超大手コンサルファーム」と、「その他の大勢の個人」というように。

「超大手コンサルファーム」は、「コンサル2.0」への移行がスムーズに出来ず、従来型コンサル(コンサル1.0)で当面戦い続ける。

他方、「その他の大勢の個人」も二極化する。従来型コンサル(コンサル1.0)に固執しているコンサルタントは世の中から必要とされなくなり、消えていく運命にあう。「コンサル2.0」へ移行するためには、「組織(会社)」で戦うのではなく「個人」のバリューで勝負していかなければならない。そうなると、「組織(会社)」というものが必要なくなり、「正社員」も必要なくなり、「アウトソーシング」を活用するようになる。

このように、私の働き方も、将来は劇的に変わるだろうと予測しました。
これは、アルビン・トフラーの影響を大いに受けています。

2005年の独立開業時は、まだ「コンサル2.0」構想は、時代の二歩、三歩先をいくビジネスモデルでしたので、従来型コンサル(コンサル1.0)をやりながら、「コンサル2.0」の準備(種まき)を進めました。公認会計士で「ダイレクト・レスポンス・マーケティング(DRM)」を実践して結果を出したのは、私が初めてではないかと思います。

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あれから10年。
「コンサル2.0」なんてコトバは定着しませんでしたし、情報商材でマネタイズするというビジネスモデルもブームが去りましたが、私が予測した方向にある程度向かっているのではないでしょうか。

少なくとも、私の中では、従来型コンサル(コンサル1.0)は終焉し、PC1台あればクライアントの依頼を解決させることはできるようになった。「組織(会社)」というものが必要なくなり、「個人」のバリューで勝負するようになった。作業工数(タイムチャージ)で請求することはなく、「情報価値」で請求するようになった。

まいた種から芽が出てきて、私は徐々に働き方を変えていきました。

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しかし、これまで(2016年まで)、例外的に大型プロジェクトはクライアント先に出向き、滞在型・対面型のコンサルティング(コンサル1.0)をやってきました。なぜか。ぶっちゃけますと、報酬が良いからです。

コンサル2.0をやりながらも、大型プロジェクトについてはコンサル1.0をやる・・・というような、アナログ放送とデジタル放送を両方配信するような働き方をしていました。

ただ、この1年、色んなことを考えまして、コンサル1.0は 2016年をもって完全に止めるをことにしました。

2017年以降、コンサル1.0は新規受注致しません。

多くの報酬を頂くよりも、「ありがとう」と言われることの方が、何倍も幸せだからです。

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私にとって、コンサル1.0は、ストレスと不条理との闘いでした。

まず、コンサル1.0は、時間の拘束が激しい。だからといって、成果物の質が上がるわけではなく、むしろ逆の場合もある。さらに、コンサル1.0は、(例外もありますが)心から感謝されるということがない。感謝されることがないのに、やり続けることは虚無感しかありません。なぜ感謝されないかといえば、(これも例外がありますが)「当事者意識」がないからです。

医師に任せておけば病気が治るとは限らず、本人の意志が大切であることは言うまでもないことです。コンサルティングについても全く同じで、本人に「当事者意識」がなければ、私がどれだけのことをやったとしても成果が出づらいのは当然のこと。にも関わらず、プロセスを丸投げして、成果だけを求められます。それだけではありません。「当事者意識」がない人ほど不条理なことを言ってくるものです。

今年、某クライアントが、事前の打ち合わせとは異なる要求を繰り返ししてきたことがありました。「不条理だなぁ」と思っていたのを耐えていた私に対して「カネを払っているのだからやれ」 的なことまで言ってきた時に、私の心は折れました。こちらは報酬に見合う労働と価値を十分に提供しているのに、上から目線で「やれ」と言われる筋合いは無い。即お付き合いを止めましたが、この一件で、コンサル1.0から撤退する決意を固めました。

とっとと自分らしい働き方をしろ、との神のお告げだと思います。

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2017年以降は、私個人からの「情報価値」の提供と、バックオフィスサービス株式会社からの「労働価値」の提供にビジネスモデルを完全に切り替えます。

コンサル1.0から撤退したとしても、提供する価値は変わりません。私が「働き方」を変えるだけですが、そのメリットは非常に大きいと断言できます。滞在時間・移動時間がなくなるため、報酬を大幅に下げることができる。時間・場所を問わず価値提供することができるため、今よりも多くの会社に価値提供することができる。私のインプットに割ける時間が増えるため、アウトプットの質は絶対に向上する、などなどなど。



かつて、松井証券の松井道夫社長が、対面営業を廃止し、ネット販売に特化した時に、社内外から猛烈なバッシングを受けたといいます。しかし、10年後、個人投資家の大半は株式をネットで売買するようになり、ネット進出への対応に遅れた「その他の大勢」は淘汰された。株式売買手数料は従来の100分の1位に下がったけど、ネット販売に特化した証券会社の売上は伸びた。実は、私が「コンサル2.0」構想をまとめた時に参考にしたビジネスモデルはかつての松井証券でした。

環境の変化に対応できない動物は滅びる運命にある。
ストレスに耐えきれない動物も滅びる運命にある。

私も、(10年以上の時間を要してしまったが)古いモデルを捨て、2017年から新しい働き方に変えます。これまで以上に、クライアント様に感動を与え、「ありがとう」を頂くために。


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