神田昌典氏は、「やりたいこと」を見つけたいなら、「やりたくないこと」をリストアップすることを薦めています。『非常識な成功法則』という本に書かれています。ちなみに、私は監査法人勤務時代にこの本を読んで、独立を決意しました (それについては、『公認会計士の仕事』という本も書きました)。

同様に、良い人間関係を築きたいなら、付き合いたくない人をリストアップすることを薦めます。

私は、恩を仇で返すような人や、約束を守らない人とは、一切の関係を断つと決めています。プライベートの関係であっても、ビジネスの関係であっても、個人であっても、法人であっても。

ただ、最近、一度だけ例外を作ったことがあります。私の中で二度とお付き合いしないと決めている企業が何社かあるのですが、その中の1社で働く社員さんから連絡が来たのです。その会社はブラックリスト入りしてますが、社員さんとは昔から連絡を取り合っていた方。だから、その社員さんと会うだけならいっか・・・ということで会いました。

すると、仕事の依頼の話でした。「武田さん以外にお願い出来る人はいない」、「他社にお願いするつもりもない」、「プロマネも含め、プロジェクトの全てをお願いしたい」、「是非お願いします」・・・と。私は、その会社とは付き合わないと決めてますので、引き受けるつもりはありませんでしたが、そこまで言われて頭を下げてお願いされているのに、断るのは良心にもとる気がしてならない。そこで、私は「ある条件」を付けさせてもらい、受託することにしました。その条件は、私とその社員さんとの間の、男同士の約束ということで、契約書には盛り込みませんでした。

しかし、、、

契約後しばらくして、男同士の約束はあっさりと破られました。もう、この会社だけでなく、この社員さんとも付き合わないと決めました。金輪際会うことも、連絡を取ることもないでしょう。

昔なら、約束を破られたら、腹が立ったり、悔しい想いをしたり、やけ酒を浴びたりしたかもしれない。しかし、最近はそんな感覚も麻痺してきました。「さようなら」・・・・・・、それ以外に何の言葉も感情もない。

やりたくないことを削ぎ落としていく、付き合いたくない人を削ぎ落としていく、それは冷たいことのように聞こえるかもしれませんが、自分が本当に必要なものを引き寄せ、プラスのエネルギーを放ち、自分らしく生きていくためには、周りに流されてはいけないと思うし、いらないものは削ぎ落としていかなければならないと思います。

他人と迎合することが良い人間関係を築くことではない。人を信頼することが道徳的に正しい行為ではない。不条理を受け入れることが心を開くことでもない。

ビジネスにおいても、人間関係においても、持っているモノを手放した時、未知なる可能性に気づくはずだし、逆にいえば、何かを変えたいと思うのであれば、持っているモノを手放さなければならない。

今回の件も、自分の在り方を考え直すきっかけにはなりました。

そうやって外部からも内部からも自分は変化し続けていく宿命にある中で、自分らしさだけは失いたくない。