素直に「読んでおいて良かった〜」と思った本。



日本人の約60%は何らかの疲れを感じている。

半年以上疲労が持続して悩んでいる人は40%近くも存在する。


このような調査・報告があるようです。



「疲れ」はなぜ感じるのか?

著者の研究によると、4時間、体に負荷を与える運動を続けても実は筋肉や肝機能などにほどんど影響しないことが分かったといいます(P12)。

つまり、疲れの原因は、体力消耗などではない



では、何が原因なのかというと・・・・

疲れの原因は、「自立神経の中枢」の疲労。言い換えれば、「脳」の疲労

発熱や痛みと同様、脳が「これ以上、運動や仕事などの作業を続けると体に害が及びますよ」というアラームを発しているのが「疲労」の原因だといいます(医学的な解説は、第一章〜第二章参照)。



となると、気になるのは、どうやって「脳」の疲労を減らすことができるのかということ。

ポイントになるのが、「睡眠」「食事」「環境」の3つ(第三章〜第五章参照)。


■睡眠
睡眠は驚くような疲労回復効果、パフォーマンス向上の力を秘めているため(P106)、睡眠時間だけでなく、睡眠の質も大切。睡眠の「質」を高めるために、夜遅くまでPCやタブレットの操作をしない(P112)、食事は寝る時刻の3時間前までに終わらせる(P113)、寝る前にお酒を飲まない(P114)、ということが大切のようです。
なお、全身浴は疲れを誘発するようですが、半身浴した後は入眠しやすいようです(P113)。
 
■食事
ニンニク、ウナギ、焼肉などが疲労を軽減することはないし(P120)、栄養ドリンクでは疲れは取れないばかりか、逆に蓄積する恐れもある(P117)。しかも、タウリンに疲労を軽減するというエビデンスはないようです・・・(P118)。(なんじゃそりゃ)
疲労回復にもっとも効果的だというエビデンスが得られたのは「イミダペプチド」という食品中に含まれる成分で、「イミダペプチド」が多く含まれているのは鶏の胸肉だそうです(P122)。ただ、鶏の胸肉を毎日食べるわけにもいきませんので、サプリメントで補うことでも疲労回復につながるようです。
なお、ビタミンC、BCAAには疲労軽減作用はないとのこと(P140)BCAAを含むアミノ酸ドリンクがいくつか売られていますが、500mlで4gものBCAAを含むタイプのものは「明らかにとりすぎ」であり、「体内のアミノ酸のバランスがくずれ、それが疲労以外の何らかのダメージを与える恐れ」があるとのこと(P143)。私が通っているジムでも4g入りのBCAAドリンクを常飲している方が少なくないのですが・・・。

■環境
同じ姿勢、同じ空間、同じ温度、同じ湿度・・・など、同じ環境にいると疲れがたまる。長時間のドライブも、エコノミークラス症候群も、同じ姿勢を取り続けることにより、疲れがたまったり、血流が悪くなったりする。
疲労をためないためには、環境や生体に「ゆらぎ」を作ること。
個人的には、この「ゆらぎ」を作ることは非常に大事だと思いますが、これをうまく説明するのが難しいので、詳細は本書の第五章をご覧ください。



疲れが取れないとか、体調が優れないとか、やる気がでないとか、そういう方は脳が疲労しているかもしれませんね。本書に疲労回復のヒントがあるかもしれません。
私としては、冒頭にも書いたように、「読んでおいて良かった〜」と思えた一冊でした。