今年に入ってから、不思議なくらい多くの問い合わせを頂いてます。
『たまたま』 だと思いますが、上場企業、上場準備企業、中小企業、起業したばかりの個人事業主まで幅広く。独立直後にひょんなご縁で知り合った方から突然ご指名頂いたりも。

黒字社長塾を初めてから中小企業の支援も多くさせて頂いてます。飲食店とか、病院とか、工務店とか、町工場とか・・・、上場企業さんとは全く異なる業種・業態のお客様もおられます。

そのようなクライアントの社長さんに、『技術への過剰なこだわりはやめた方がいい』というアドバイスをすることがあります。例えば、飲食店オーナーであれば食材などに過剰にこだわりすぎたり、病院オーナーであれば医療器具に過剰にこだわりすぎたり、という傾向があります。小さな会社の職人気質のオーナーであれば仕方ありません。

しかし、その技術へのこだわりが利益率を悪化させたり、資金繰りを苦しめたりする場合があります。

技術へこだわりたい気持ちは十分に分かりますが、その技術を理解しているお客様がいったいどれだけいるとのかという話です。

普段通っているレストランの食材がいつもより少し良くなったとか、歯科の機械がいつもより良くなったとか、そんなことは大半の人が気付きません。

こんなことを職人気質のオーナーにいうとプライドを傷付けることになるかもしれませんが、お客様があなたを選ぶ理由は、『なんとなく』じゃないのか。例えば、店に入った時の雰囲気がなんとなく良かったとか、店員の接客がなんとなく感じ良かったとか。リピーターになってくれるかどうかは、その『なんとなく』が最大の理由なのではないかと思います。

最近、ビジネスホテルの予約が取りづらいし、値上がりが半端ないので、開き直って高級ホテルに泊まってますが、高級ホテルが高級ホテルたる所以はハードウェアの素晴らしさではありません。ハードウェアが素晴らしくても、サービスが三流であれば、所詮三流ホテルですし、私はそういうホテルにリピートすることはありません。でも、仮にハードウェアがイマイチだとしても、ほんの些細なおもてなしの心があるだけで、超一流ホテルだという印象を受けますし、私はそういうホテルをリピートします。私はホテル業界には詳しくないので、超一流か三流かの判断は主観ですし、『なんとなく』 です。でも、『なんとなく』でリピートするホテルを選んでいることは事実です。

今から10年位前のこと、リッツ・カールトンの元日本支社長の高野登さんの講演を聞く機会があったのですが、その際に、リッツ・カールトンが大切にしているのは1人1人のお客様との『情緒的な繋がり』だ、というようなことをおっしゃられていました。先日、京都のリッツ・カールトンに宿泊した時、(ホテルではなく)敷地に入った直後に、「おかえりなさいませ、武田様」と言われた時は感動しました。どこぞのホテルで、玄関のボーイが過去の宿泊客の名前を覚えてるでしょうか。しかも私みたいな人間の。

私も、技術へのこだわりが強い社長さんには、(技術の向上はもちろん大切ですが)お客様との『情緒的な繋がり』を大切にしてください、と言うことがあります。飲食店オーナーには、挨拶する時は料理の手を止めてお客様の目を見て挨拶して下さいとか、病院オーナーには、治療後に御礼状を出して下さいとか・・・、こういう些細なことを習慣化して1人1人のお客様と『情緒的な繋がり』を持つことが技術の向上よりも大切だと思っています。

『たまたま』のご縁で出会った方でも、『情緒的な繋がり』を持ち、『なんとなく』の安心感や感じの良さを与えることができれば、リピーターになってくれたり、指名してくれたりするんじゃないかと思います。


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