実践版 安岡正篤
北尾吉孝
プレジデント社
2015-07-14



SBIホールディングスの北尾吉孝CEOが心の師と仰ぐ安岡正篤(やすおかまさひろ)先生の教え(安岡教学)を解説した本。

北尾吉孝CEOが安岡正篤さんについて書かれた本は、『安岡正篤ノート』(致知出版社)に次いで2冊目になりますが、今回紹介する本の方が読みやすく、親しみやすいと思います。

安岡正篤の多くの著作物や中国古典から片言隻句を紹介しながら、北尾CEOの知見を通しての解説が書かれております。これまでの北尾CEOの書籍、ブログ、セミナーなどで語られていた内容と重なる点は少なくないものの、隅々まで赤線だらけになりました。

個人的に、特に気に入ったのはこの部分。
自得ということは自ら得る、自分で自分をつかむということだ。人間は自得から出発しなければならない。金が欲しいとか、地位が欲しいとか、そういうのはおよそ枝葉末節だ。根本的・本質的にいえば、人間はまず自己を得なければならない。本当の自分というものをつかまなければならない。

ところが人間いろんなものを失うが、何が一番失いやすいかというと自己である。人は根本において自分をつかんでいない。空虚である。そこからあらゆる間違いが起こる。人間はまず根本的に自ら自己を徹見する、把握する。これがあらゆる哲学、宗教、道徳の根本原則である。

(安岡正篤『知命と立命』より)

自得というのは大切ではあるけど、一番難しいもの。
『命を知らざれば、以て君子たること無きなり』という論語の言葉も紹介されていますが、自分を知る、天命を知るということは最も重要な精神だと述べれています。