続き

今日紹介する本は、先日逝去された哲学者木田元先生の本。

前回は、中勘助の小説『銀の匙』を中学の3年間をかけて読み込む橋本武先生の授業を紹介しましたが、今回の木田元先生はハイデガー『存在と時間』を読みたい一心で東北大学哲学科に入り、1冊の本を4年間かけて研究したというから、本との接し方も様々ですね。

若い時に「本当に自分には何ができるのだろうか」と考えては悩み、キルケゴールの『死に至る病』などを読み、ハイデガーの『存在と時間』も読んだけど、翻訳書じゃどうも意味が分からない。ドイツ語の原書を読んでみなければ・・・・・・、そう思って、大学で哲学科に入り、語学を勉強し、そして『存在と時間』を原書で読む。読んでみると、予想以上に面白かったけど、肝腎なところがさっぱり分からない。分からないから、もっと哲学を学びたいと思い、哲学者の道へ・・・・・・。

人生、何が起こるか分からんもんです。

前回紹介した橋本武先生は『横道にそれる』ことを薦めていましたが、木田元先生も『若いうちは、まわり道をしたほうがいい』(P84)といいます。



1冊の本を何年もかけて読む。

まわり道かもしれないし、益はないかもしれないけど、意味はある。

それでいいのです。

人生、面白ければそれでいい。



人生二度なし。
良い本で、良い人生を。
No Fun,No Life !!