続き


「インターネットが売り手と買い手のパワーバランスを変えた」と言われます。

買い手は、欲しい商品・サービスの概要・性能などを瞬時に入手できるようになっただけでなく、売り手の評判なども調べ尽くします。

ソーシャルメディア時代になると、その情報がシェアされ、買い手(消費者)が簡単に連携し、コミュニティーが出来上がります。

先日、私は、このコミュニティーの恐ろしさを痛感する出来事がありました。

ある上場企業の決算担当者が、「連結会計システムを導入したいが、どのシステムが良いのか?」という質問を上場企業決算担当者のメーリングリストに送信しました。すると、次々と回答のメールが寄せられます。その内容はカタログ上の機能・性能といった内容に留まりません。カタログには現れない使い勝手、使い心地、操作性、有用性、オプション機能、アフターサービス、他社製品との比較など、とんでもない数の「生」の声が集まったのです。そして、各社の営業担当者がどういう営業をしてきたのかという話も。

このメールを読みながら、改めて
「営業は会議室でやるものではない!」
と思いました。

はっきり言って、営業担当者が会議室でプレゼンするような内容の大半は、買い手にとっては既に知り尽くした情報なわけです。

こういう出来事を目の当たりにすると、会議室の目の前にいる見込客に外発的に商品・サービスを売り込むという時代ではなくなりましたね。セールスの対象は個人ではなく、コミュニティーに変わった、変わらなければならない、と思いました。

これは、連結会計システムに限った話ではなく、あらゆる商品・サービスに当てはまるのではないでしょうか。

私がやっているコンサルティングという無形のサービスであっても、サービスの内容を会議室で話したところで、そんなものは問い合わせをもらった段階で調べ尽くされているわけです。それが他社との比較対象にはならんということです。何が決裁のポイントかということは考えた方が良いと思います。


ダニエル・ピンク氏の新刊書にもそんなことが書かれています。必読です。


(続く。)