7月4日はアメリカ合衆国の独立記念日ですが、私が独立した日でもあります(サラリーマンを6月末日で退職しましたので、正確には7月1日が独立した日ですが、事業開始が7月4日だったということで)。

独立した翌年か翌々年か忘れましたが、「開業◯周年記念パーティー」とか言って、芦屋のバーを貸切にして、真っ赤なポルシェを横付けし、社員や取引先を招待して派手なことをしたもんです。今となってはアホなことをしたもんだと恥ずかしく思います。その時に来てもらった社員もパートナーも取引先も、今はバラバラですから。大半は連絡先すら知りません。

独立を2度も行ないますと、独立した日というのは特に何の感情も沸かず、今年も7月4日を何日か過ぎてから、「あー、独立して◯年経ったなぁ」と気が付いたほど。誕生日と同じく、「年取ったなぁ」と思う程度です。


今でも会計士の方から「独立したいけどどうしたら良いか・・・」的な相談をよく受けます。
独立している私に聞くくらいだから、独立を後押しして欲しいんだと思います。思いっきり後押しする場合もあります。で、大成功し、自由な生活をしている人もたくさんいます。一方で、「そんな甘いもんじゃねーよ」と独立を止める場合もあります。


特に、カタチから入ろうとする人がいたら、独立を止めますね。


事業開始前から、
 ・立派なオフィスを構えようとしている
 ・立派な備品類を揃えようとしている
 ・人を採用しようとしている
 ・ビジネスモデルを構築しちゃっている
 ・経営理念を掲げちゃっている
 ・創業融資を考えている・・・・

などなど。

絶対に止めるべきは、「共同経営」です。
お互いの強みを活かし、弱みを補うことを期待して、共同パートナーというカタチでスタートする方が非常に多いのですが、それで成功したというケースよりも、失敗したというケースの方が圧倒的に多いのです。裁判沙汰になったケースだって珍しくありません。私もその口です。振り返りたくもない過去を長期間引きずり回され、何の金銭的リターンもないのに弁護士費用などは吸い上げられるわけです。
もちろん、すべての共同経営がこのような結末を迎えるわけではありませんが、そうなる可能性がありますよ、ということです。
「起業」がしたいのであれば、一人でせずに、パートナーと一緒にやるべきかもしれません。しかし、公認会計士として「独立」したいのであれば、自分のバリューだけで戦うべきだと思います。今は、私はそう考えます。


私が思うに、公認会計士と経営者の両立など、凡人にはできないと思います。経営者になりたいならなればいい。公認会計士の道を突き抜けたいなら、経営者のマネごとなどやめるべき。経営の神様、稲盛和夫氏のようなことを、経営のケの字も知らない公認会計士がマネできるとは思えません。事務所をでかくして、組織っぽくすることを目指すのではなく、自分のバリューを最大化することを目指すべきだと思います。オフィスなんてなくたって構わないし、事務職員や営業職員などを雇用する必要はない。事業開始前に経営理念なんて考えるヒマがあったら、結果を出すことにフォーカスし、さっさと行動すべきです。

私は、今では「経理を変えれば、会社は変わる」という経営理念を掲げていますが、それは私のブレない軸を言語化しただけ。テーブルクロスの真ん中を持ち上げた時に周りの食器が中央に吸い寄せられるように、経営理念に共感してくれるクライアントが集まってきてくれたことは誇りに思います。

ちなみに、私の個人事務所については、オフィスもなければ、コピー機もなく、(秘書以外に)人を雇ったことも、源泉所得税の納付書を書いたこともありません。事務職員や営業職員などを雇用することは今後もないと思います。それでも、そこそこやってる方だと思います。

独立に必要なものは案外少ないものです。あれこれ持つと苦労すると思います。



▼こちらの本は、起業したい人にも、独立したい人にも必読です。

小さなチーム、大きな仕事〔完全版〕: 37シグナルズ成功の法則小さなチーム、大きな仕事〔完全版〕: 37シグナルズ成功の法則 [単行本]
著者:ジェイソン・フリード
出版:早川書房
(2012-01-11)