せっかくなので先日の続きを。

会社が生き残ることを考えると、つまり「永続企業」になることを考えると、借入を増やしたり、リスケをしたりというB/S操作による「延命措置」を図るのではなく、P/Lを改善しなければならない、ということを先日書いた。
なぜなら、銀行から新規融資を受けることができたとしても、粗利や営業利益が赤字であれば、キャッシュは垂れ流されて消えていくからだ。P/Lを改善せずに、B/Sを良く見せても、たんなるドーピングに過ぎず、ドーピングが切れたら元に戻る。何の解決にもならん。

先日、P/Lを改善するには、(1)粗利率の向上、(2)販管費の削減、の2つだけと書いた。
正確にはもう1つある。「売上高の向上」だ。しかし、「売上高の向上」というものは、目指したからといって達成できるものではないし、短期間で成果が出ることはない。P/Lを改善する3つの手法のうち、「売上高の向上」から手を付ける中小企業の社長が多い(というかほどんど?)が、売上至上主義、規模拡大を前提とした計画を立てると、設備投資や人員投資を先行させるというインセンティブが働き、「販管費の削減」どころか、コスト増大につながり、かえってキャッシュを流出させることになってしまう。だから、赤字体質の会社、融資依存の会社が「売上高の向上」を目指すべきではないと考えている。

まずやるべきは「販管費の削減」である。これは、社長がその気になれば翌日からでも効果が出る。中小企業ほどムダな経費が多すぎる。過剰な福利厚生、異常な備品発注、必要性が感じられない節税商品、不必要な部署・役職・・・などなど。まずは販管費を一気に削減する必要がある。

「販管費の削減」に手を付けたら、その次に「粗利率の向上」を目指すべきだ。
「粗利率の向上」には、売上管理(販売管理)と原価管理の両方が必要。売上管理といっても、上述の通り、売上高の向上は目指すべきではないが、営業が安易な売上値引をしていないかどうかを管理するだけでも粗利率が数%向上するという会社もあるはずだ。原価管理については、例えば仕入先や外注先への相見積りを取るという基本的なことをやっていない中小企業はとても多いので、そういう基本的なことをきちんとやり原価率を月次ごと、もしくは商品・製品ごとにシビアに管理していかなければならない。

月次決算書(推移表)をみて、粗利率が毎月上下に大きくブレている会社は特に気をつけたほうがいい。売上10億円の会社が粗利率1%向上させるだけで利益は1000万円も上がる。3%向上させたら3000万円だ。これだけで赤字会社は黒テンするのではないだろうか。

私は、中小企業のクライアントに対しては、毎月月次決算書(推移表)のデータを送ってもらい、粗利率や販管費が予算より0.1%でも1円でもオーバーしたら、その原因を社長に調べてもらうことにしている。今どれだけの量を食べているのか分からずに、ダイエットが成功するはずがない。数値を徹底して分析することなくして、黒字社長になることは有り得ないと思っている。逆に、現状の数値を把握することなく、新規借入やリスケ(返済条件変更)、経営革新・経営計画の作成、企業再生・事業再生などに手を出すのは、食べている量も把握せずに高額なダイエット食品に手を出すようなもので、社長の悩みを解決することにはならない。