サイバーエージェント流 成長するしかけサイバーエージェント流 成長するしかけ
著者:曽山 哲人
販売元:日本実業出版社
発売日:2010-02-25
おすすめ度:4.0


ビジョナリーカンパニーの創り方!

昨日、2000年3月24日は、サイバーエージェントが東証マザーズに上場して、ちょうど10年経った日だったようだ(藤田晋社長のブログより)。

偶然、そんな記念すべき日に、サイバーエージェントの取締役であり、人事本部長である曽山哲人氏の『サイバーエージェント流 成長するしかけ』という本を読んだ。

取締役であり、度々メディアにも登場する人事部長ってのは珍しいと思う。しかし、こんな会社の人事部長の仕事はめちゃくちゃ大変だと思う。上場したときは40名程度だった社員数が、10年後には2,000人を超えている(連結ベース)。平均年齢は28.9歳と非常に若い。そんな若いパワーで連結売上高1,000億円に迫ろうとしている。著者の曽山氏は、こんな企業の人事部のトップである。どうやってこの社会経験の浅い船員ばかりが集まった船の舵取りをしているのか、メディアが気にならないわけがない(しかも、驚くことに曽山氏は元々営業部の社員で、人事に異動してまだ5年らしい)。

本書は、同社の『しかけ』を惜しみなく紹介してくれている。人材育成や福利厚生に関する話だけでなく、営業のはなし、経営のはなしなども紹介されている。経営理念や行動規範を全社員が共有する『しかけ』についても紹介されている。

離職率が30%を超えたこともあるベンチャー企業が、「働きがいのある会社」にランクインされるまでになった経緯は決して平坦なものではなかったものの、長い歳月をかけて、強固な組織であり、21世紀の“ビジョナリー・カンパニー”を創りあげたこの10年間の歴史を見ることができる貴重な内容である。

本書の帯に、藤田晋社長のこんなコメントが記載されている。
仮にサイバーエージェントが
まったく違う事業をすることになったとして、
たとえそれが うどん屋であっても 何であっても、
我々の組織をもってすれば、きっと成功すると思う。

人事に関しては絶対的な自身があるのだと思うが、どんな事業であっても成功できると言い切れるということは、つまり、本書で紹介されている『しかけ』は、どんな事業であっても参考にできるということだ。
経営者や人事担当者だけでなく、営業担当者や部下を持つ各部課長レベルの方にもオススメの一冊である。


【ベンチャー企業経営者の本】
藤田晋著『藤田晋の仕事学
三木谷浩史著『成功の法則92ヶ条