日本人の矜持―九人との対話 (新潮文庫)日本人の矜持―九人との対話 (新潮文庫)
著者:藤原 正彦
販売元:新潮社
発売日:2009-12-24
おすすめ度:4.0
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『国家の品格』の藤原正彦さんによる対談集。
タイトルの『矜持(きょうじ)』とは、「自信と誇り。自信や誇りを持って、堂々と振る舞うこと。」をいう(大辞林より)。

対談の相手は以下の9人。

1.齋藤孝(教育学者・明治大学教授)
2.中西輝政(国際政治学者・京都大学教授)
3.曽野綾子(作家)
4.山田太一(脚本家・作家)
5.佐藤優(起訴休職外務事務次官・作家)
6.五木寛之(作家)
7.ビートたけし(映画監督・タレント)
8.佐藤愛子(作家)
9.阿川弘之(作家)

この碩学賢者の9人の対談を通して浮かび上がってくる一つのキーワードは「教育」だ。人間の知的活動の根幹は、「読み書きそろばん(算数)」である。そんなものは江戸時代の寺子屋の先生が既に喝破していたことだ。
しかし、今の日本の教育は、ゆとり教育だの英語だのパソコンだのいって、「読み書きそろばん」を軽視している。そのため、(教育者も含めた)日本語離れ、読書離れ、活字離れが深刻である。
今の国語の教科書は昔に比べて信じられない程薄いらしい。本を読まないため、感性も磨かれず、倫理観が形成されず、独創性や感受性や情緒力といったものが失われる。国家が将来ある子供たちの芽を摘もうとしているのである。P116〜に書かれているルース・ローレンスという少女の話や、P198〜に書かれている数学者の岡潔氏の話を読むと、藤原正彦氏が繰り返し述べている「情緒力」というものの必要性が身に染みて理解できる。

日本人が日本人としての矜持を持つために、教育や教養というものの在り方について、我々一人ひとりが変えていかなければならないと思う。

以下のコメントは強烈。。
『私に言わせれば、朝起きてから眠るまで、一ページも本を読まないという人は、もう人間ではない。ケダモノである。』(P75)


国家の品格 (新潮新書)国家の品格 (新潮新書)
著者:藤原 正彦
販売元:新潮社
発売日:2005-11
おすすめ度:3.5
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