会社にお金が残らない本当の理由(ビジネス環境を支配する「7つのシステム」 お金を残すための「4つの数字」) (フォレスト2545新書)会社にお金が残らない本当の理由(ビジネス環境を支配する「7つのシステム」 お金を残すための「4つの数字」) (フォレスト2545新書)
著者:岡本吏郎
販売元:フォレスト出版
発売日:2010-01-15
おすすめ度:5.0
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●会社が潰れるのは、お金が残らないから

先週、メガネ21の創業者・平本清氏の『会社にお金を残さない!』という本を紹介した。これは、会社にお金が残っていても内部留保しないということが書かれている。しかし、実際は、殆どの会社がお金が残らないため、内部留保もで出来ない。

93.7%の会社は創業10年以内に潰れるらしい。単純にいえば、100人の起業家がいても、約94%は失敗するのだ。潰れる会社の殆どは資金繰り悪化である。よって、大半の会社はお金が残すことが出来ていないということになる。

「それはなぜか????」

ってことを書いたある本が2003年に出版され、2004年のビジネス書年間ランキング3位になったのであるが、その本が新書化されたものがコレ。

・資金繰りに困っている中小企業経営者
・借入金に依存している中小企業経営者
・イザとなったら身内にカネを借りようと思っている中小企業経営者
・銀行はカネを貸すもんだと思っている中小企業経営者
・これからもそうやって乗り切れると錯覚している中小企業経営者
は、是非本書を読むべきである。

実に良いことが書いてある。

『資金繰りが悪い中小企業がなぜ資金繰りが悪くなったのかの一番の理由は簡単です。
すべき内部留保をしなかったから…。
すべき貯金をしなかったから…。
それは言い方を変えると、身の丈以上の生活をしたから…とも言えます。
実はそれだけのことなのです。』
(P36)

『小手先で傷を繕いながら、なんとなくつぶれないで存在してしまうのが企業の不思議なところです。特に中小企業は親せきや友達も巻き込んでお金を何とかしてしまいます。
つまり、経営者は現実を直視せず問題解決を先送りしながら、周りを巻き込んでいくのです。
頭を使っているところはお金の借り方だけ。なぜか、そこだけは頭が回ります。その頭を違うところに使えば将来もあるかもしれないのに…。
そして、将来、本当にやり直す時に力を借りなければならない人たちを一緒に道連れにしながら落ちていきます。その先に悲劇しか待っていないことは誰にでもわかります。
しかし本人は、今までの行動パターンを表向きはしのいできたのですから、これからもできると錯覚してしまうのです。』
(P44)

本当に同感である。

そして、P128の決算書の利益は「利益」ではない(=まったく経営の実態を表さない)という話や、P130の税理士・会計士は何も分かっていないという話も、全く同意。
私も声を大にして言いたいことを、先に言ってくれた感じだ。

ちなみに著者は税理士。昨年税理士法人を設立されたようだ。
「残念ながら、
 本当に役に立つ税理士事務所は
 それほど多くありません。」

という法人のキャッチコピーもいいですね。これにも同意します。


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