サラリーマンのためのお金サバイバル術 家・車・保険、「人並み」な買い物が破滅を招く (朝日新書)サラリーマンのためのお金サバイバル術 家・車・保険、「人並み」な買い物が破滅を招く (朝日新書)
著者:岡本 吏郎
販売元:朝日新聞出版
発売日:2009-11-13
おすすめ度:5.0
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私が小さい頃、よく父親に言われたこと。
「お金が貯まる方法を知ってるか? それは、使わないことだ。」

何を“当たり前”のことを言っているんだ!? という話であるが、この“当たり前”を実行出来ている人は少ない。

私の周りを見回しても、年収の数倍もする自宅をほぼフルローンで購入し、高級車をほぼフルローンで購入し、契約内容もろくに読まずにいくつもの生命保険と契約している人は多い。社会人の間にそういったものに支払うキャッシュは億を超えるに違いない。ローンを返済するために仕事をしているようなものなので、お金が貯まるわけがない。

私もかつては高級車を乗り回していた時期があった。その頃、岡本吏郎氏の何かの本を買って、冒頭から「私は中古の100万円位の車を潰れるまで乗り回す」というような趣旨のことが書いてあり、なんだかムカついて、冒頭数ページを読んで捨てた記憶がある。
しかし、リーマンショックがおこり、100年に1度の金融危機を経て、デフレ経済に突入した今、私自身も含め、多くの人が気付いたはずだ。
「お金が貯まる方法は、使わないことだ。」と。

だから、住宅・マンションの販売棟数は激減し、新車販売台数も激減している。若者は車には興味を持たず、政府があらゆる経済政策をとっても、浪費にキャッシュを回すことはない。

つまり、皆、社会人になったら、車を買い、自宅を買い、保険に加入するという“人並み”の買い物が破壊を招くことに気付いたのだ。
どん底を経験して、“当たり前”を痛感したのだ。

著者の岡本吏郎氏は、現在、税理士であり経営コンサルタントとして活躍されているが、こんな“当たり前”をサラリーマンをしていた20代から気付いていたというから、同じ職業会計人として恥ずかしい限りである。
本書は、タイトルから想定されるような資産運用本ではない。むしろ、運用するくらいなら「どう考えたって働いた方が早い」(P134)という考えを書かれているように、自身のお金に対する経験談や考えをまとめたものと言った方がいい。ただ、領域は、住宅・保険・教育・老後資金…とお金に対する必要な知識が最低限網羅されており、しかも結構深い。FPの友達が薦めていた本だけあって、良い本である。


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