知的幸福の技術―自由な人生のための40の物語 (幻冬舎文庫)知的幸福の技術―自由な人生のための40の物語 (幻冬舎文庫)
著者:橘 玲
販売元:幻冬舎
発売日:2009-10
おすすめ度:4.0
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●橘玲『雨の降る日曜は幸福について考えよう』 待望の文庫化

改めて読み返し、つくづく思うのは経済的独立、経済的自由を獲得するのは、本人の「意思」「努力」だということだ。どちらが欠けても経済的独立(Financial Independence)を手に入れることはできないだろう。Financial Independenceを手に入れることが、必ずしも幸福な人生を送れることとは限らない。しかし、それを手に入れることにより「人生の選択肢」が広がるはずだ。それこそが幸福の重要な一要素ではないかと思う。そういう意味で、変更された書名にもなっている「知的幸福の技術」というものを、本人の意思と努力により身に付けなければならないと思う。

本書は、「人生設計」「生命保険」「年金」「医療」「教育」「不動産」「資産運用」「市場経済」に分けて、知的幸福の技術を身につける方法を短編コラム形式で書かれている。

言われてみれば当たり前のことであるが、私たちは好むと好まざるとに関わらず、老後は生活の糧を労働から得るのではなく、年金と資産運用のみに依存することになる。つまり、「老後は誰しもが一人の投資家になる。」(P115) その時に、金融市場などの知識がなくて、どうやって自分や家族の生活を守ることができようか。

第33章「自分だけの刀を研ぎ澄まそう」(P116〜)に書かれているノーベル賞経済学者のゲーリー・スタンリー・ベッカー(Gary Stanley Becker)の「人的資本論」の話は是非繰り返し読んで欲しいと思うが、これこそが「知的幸福の技術」であり、本質的で合理的で絶対的な投資方法ではないだろうか。


【橘玲さんの本】
橘玲 『貧乏はお金持ち』